非効率と失敗をまねくからである。近代技術をつくったのがだれであり、
その目的がなんであったかは別にして、この技術、あるいはマルクス主義の
用語を借りれば生産様式は、今や「それに合った」、つまり適合したシステムを
求めるのである。
現代社会が危機に直面している以上、なにかが適合していないに違いない。
(E.F.シューマッハ「スモール イズ ビューティフル再論」)
http://www.earthpolicy.org/
レスター・R・ブラウン
21世紀の現代文明のストレスはさまざまな形になって現われる。
的、経済的、環境的、そして政治的なストレスだ。
て不健康で、目に映るのが、使い捨て経済による、
い捨て用品はもともと、第二次世界大戦後に便利なものとして、
経済成長維持の手段として考え出された。
ど、より多くの雇用が生まれるだろう、という理屈からだった。
使い捨て用品が売れたのは、その便利さゆえだった。例えば、
オルやナプキンを洗うことよりも、
だった。こうして、私たちはハンカチの代わりにティッシュを、
代わりに使い捨てのペーパータオルを、
てのものを、
うようになったのだった。
流れの一部になっているのだ。
このまま行けば使い捨て経済が地球の地質学的な限界に突き当たる
世界では、都市近郊の埋立地が不足しつつあるだけでなく、
や輸送に使われる安い石油も急速に枯渇しつつある。
おそらく、より根本的なことは、容易に入手できる鉛、スズ、銅、
ボーキサイトが、使い捨て経済をこの先1、
な量がないということだ。
間2%増加すると仮定した場合、
ては17年分、スズは19年分、銅は25年分、鉄鉱は54年分、
だという。
都市からごみを運搬するコストは、
上昇するにつれて、値上がりし続けている。
した最初の大都市の一つが、ニューヨークだ。
た市内のフレッシュキルズ埋立地は2001年3月に永久に閉鎖さ
ジー州やペンシルバニア州、
しなければならなくなったのだった。
ク市から300マイル(約483キロメートル)
ニューヨークで1日に出されるごみの量を1万2,
1台につき20トンのごみを積んでいると仮定すると、
運搬するのに1日につき約600台のトレーラーが必要になる。
列は9マイル(約14キロメートル)近い長さとなり、
炭素排出量を増やしている。
財政的に苦しい他州の地方自治体は、
ヨークのごみを受け入れることに前向きだ。
もうけのチャンスだととらえる者もいる。
路の維持管理費の増加や交通渋滞、大気汚染の悪化、
質汚染の可能性、
2001年、バージニア州知事のジム・
アーニ市長に対して、
する書簡を送った。「
しかし、ワシントン、ジェファーソン、
あるわが州は、
彼は記している。
ごみをめぐる悩みはニューヨーク市に限ったことではない。
ロントでは、2002年12月31日に、
間75万トンのごみすべてをミシガン州ウェイン郡に運んでいる。
古代ギリシャ、そして現代のギリシャの首都でもあるアテネでは、
一の埋立地が2006年末に飽和状態に達した。
の受け入れを渋ったため、アテネで1日に出される6,
れはじめ、市はごみの危機に陥った。
そこにきて国はやっと、
(彼自身もギリシャ人だ)が呼ぶ「廃棄物のヒエラルキー」
ず第一にごみを出さないようにし、次にリユース(再使用し)・
資源化し)・回収を行うという優先順位に注意を向け始めている。
さらに近年のごみ危機の例には、中国で現在進行中のものがある。
のすべての物とも同じように、
社である新華社は、航空・
ぞれ面積が50平方メートル以上のごみ処分場が北京、天津、
7,000あることを探知したと報じた。
焼却、または堆肥にされる。しかし、
(それが利用可能な場合にだが)、
こうした中国のごみ問題に関する事例は、
近い将来に中国で生じ得る消費パターンを幅広く分析すると、
の経済モデルが総じて将来破たんするのかが見えてくる。
私が記憶する限りでは、私たちは「世界の人口の5%
の1/3以上を消費している」と言い続けてきた。これは、
今となってはもはや事実ではない。今日では、
費しているのだ。
穀物、肉、石油、石炭、鉄鋼といった主要物資のなかで、
いて、中国の消費は米国よりも多い。
ているが、その差は縮まりつつある。穀物消費は、
く、肉は米国のほぼ2倍、
こうした数字は国全体の消費を反映しているが、
米国並みになれば、一体どうなるだろうか。
間10%から8%にペースを落とすとしても、
得は現在の米国人のレベルに達するだろう。
中国人が、
らの所得額をそのまま消費額だとみなすことができる。もし、
ひとりが現在の米国人と同じペースで紙を消費するならば、
6,
だろう。こうして世界の森林が消えてゆく。
2030年に中国人が現在の米国人と同様4人に3台ずつ車を所有
国の自動車保有台数は11億台になる。
だ。必要な道路や高速道路、駐車場のために、
じ広さの土地を舗装しなければならなくなるだろう。
2030年までに、中国では1日あたり9,
現在、世界の1日あたりの産油量は8,500万バレルだが、
能だろう。そうやって、世界に埋蔵されている石油が消えていく。
中国が私たちに教えてくれていることは、西洋型の経済モデル、
をベースとした自動車中心の使い捨て経済は、
とだ。もし中国でうまくいかないのであれば、
口を抱えているかもしれないインドでも同様だろう。また、
・ドリーム」
そして、世界経済はますます一体化し、私たちは同じ穀物、石油、
ている。そのような中では、
しないものになろうとしている。
私たちの世代にとっての最大の課題は、新しい経済、
生可能なエネルギー源によって発電され、
すべてをリユースそしてリサイクルするような経済を構築すること
この新しい経済、
るための技術を、私たちは持っている。
この新しい経済を早く構築することができるだろうか?
# # #
出典:レスター・R・ブラウン著、『プランB3.0:
(PlanB3.0: Mobilizing to Save Civilization)
第1章「21世紀の世界は『余剰』から『不足』の時代へ」
第6章「衰退のさまざまな初期兆候」
2008年、W.W.ノートン社(ニューヨーク)より刊行。
以下のサイトにて無料ダウンロードもしくは購入可。
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